自分で考えたサービスを世の中に提供しようとしたとき、個人事業主では限界を感じる場面があります。そんなときに法人格を得られ、株式会社ほど会社運営が煩雑ではない合同会社がおすすめです。今回は、合同会社を設立するメリットとデメリットについてお話します。
合同会社設立のメリット
合同会社設立は、個人事業主として事業運営するよりもいくつかのメリットがあります。ここでは、合同会社設立のメリットについてお話します。
費用負担が軽く済む
会社の設立費用は、株式会社の場合で最低でも約20万かかってしまいますが、合同会社の場合は、最低で約6万円となっています。(下記の図参照)
合同会社 | 株式会社 | |
---|---|---|
収入印紙代(電子定款の場合不要) | 4万円 | 4万円 |
公証人手数料 | ー | 5万円 |
定款の謄本手数料 | 2,000円程度(1ページ250円) | 2,000円程度(1ページ250円) |
登録免許税 | 6万円 | 15万円 |
最適金額 | 約6万円〜 | 約20万円〜 |
法人格として運営できる
合同会社は、株式会社と同じ法人格が得られます。そのため、法人格に対して与えられる許認可も得ることができます。(下記の表参照)
業種 | 許可・届出 | 許認可権者 |
---|---|---|
不動産業 | 宅地建物取引業免許 | 国土交通大臣又は都道府県知事 |
建設業 | 建設業許可 | 国土交通大臣又は都道府県知事 |
旅行業 | 旅行業登録 | 国土交通大臣又は都道府県知事 |
旅行代理業 | 旅行業者代理業登録 | 都道府県知事 |
飲食店 | 食品営業許可 | 保険所 |
ホテル・旅館 | 旅館業営業許可 | 保険所 |
美容院 | 美容所開設届出 | 保険所 |
理髪店 | 理容所開設届出 | 保険所 |
クリーニング店 | クリーニング所開設届出 | 保険所 |
貸金業 | 貸金業登録 | 財務局長又は都道府県知事 |
中古品販売 | 古物商許可 | 公安委員会 |
風俗営業 | 風俗営業許可 | 公安委員会 |
警備業 | 警備業認定 | 公安委員会 |
探偵業 | 探偵業の届出 | 公安委員会 |
介護事業 | 介護事業指定 | 都道府県知事 |
産業廃棄物処理業 | 産業廃棄物収集運搬業許可または産業廃棄物処分業許可 | 都道府県知事 |
人材派遣業 | 一般労働者派遣事業許可または特定労働者派遣事業届出 | 厚生労働大臣 |
酒の販売 | 酒類販売業免許 | 税務署長 |
タバコの販売 | 酒類販売業免許 | 財務局長 |
倉庫業 | 倉庫業登録 | 国土交通大臣 |
タクシ-業 | 一般乗用旅客自動車運送事業許可 | 国土交通大臣 |
トラック運送業 | 一般貨物自動車運送事業経営許可 | 運輸局長 |
軽トラック運送業 | 貨物軽自動車運送事業経営届出 | 運輸局長 |
自動車分解整備業 | 自動車分解整備事業認証 | 運輸局長 |
出資の範囲内で有限責任
合同会社は、社員の出資の範囲内で責任を負うことになります。というのも、合同会社の社員は、株式会社で言う株主になります。
意思決定が迅速
合同会社は、社員の出資割合に関係なく利益の配分を決められます。また、あらゆることが定款で決められる上、株主総会も必要ありません。
合同会社設立のデメリット
合同会社設立は、法人格を得られるという最大のメリットがある反面、運営する上で、いくつかのデメリットがあります。ここでは、合同会社設立のデメリットについてお話します。
合同会社の認知度が低い
日本では合同会社の認知度が低いため、人材募集時や新規取引時に苦労します。また、代表は、「代表取締役」ではなく「代表社員」となります。
分配をめぐる社員同士のトラブルの危険
出資割合に関係なく利益分配を決められるということは、その利益分配を巡ってトラブルになる可能性があると言えます。
IPO(株式公開)はできない
株式を発行しないので、IPOはできません。IPOできないということは上場はできないということになります。
合同会社設立がおすすめなケース
メリットの多い合同会社ですが、業種や業態によって向き不向きがあります。ここでは、合同会社設立をおすすめしたいケースについてお話します。
ネット通販など個人ユーザー向けの商売
個人事業主として運営していて、利益が確保できている場合は、個人事業主として所得税課税をするより、税率の低い法人税率を適用したほうがメリットはあります。
事業を行う上で許認可に法人格が必要
事業をする上で許認可必要なケースがあります。特に法人格に対して発行される許認可の場合にメリットがあります。
目的実現の方法が広がる
今回は、合同会社設立のメリットとデメリットについてお話しました。
合同会社設立は、個人事業主のみならず世界の大手企業も設立するなど、その運営形態はさまざまな可能性を秘めています。
設立するかどうかは、ケースバイケースになりますが、選択しが増えることで、可能性を実現できる方法をより多く手に入れることができます。